知るほどに、もっと魅力的

ISGロゴ ISG マイナビロゴ マイナビ インディードロゴ indeed
業界情報

LPガスの輸入先と輸出先は?日本のLPガス供給を支える国際取引の実態を解説

LPガスは私たちの生活に欠かせないエネルギーですが、「LPガスはどこの国から輸入されているのか?」「日本はLPガスを輸出しているのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

日本はエネルギー資源が限られているため、LPガスの大部分を海外から輸入しています。一方で、一部のLPガス関連製品や石油化学原料については海外への輸出も行われています。
LPガス業界に携わる立場から、日本のLPガスの主な輸入先・輸出先、輸入依存度、近年の調達動向、今後の課題まで詳しく解説していきます。

日本のLPガスはほぼ輸入に依存している

まず知っておきたいのは、日本で消費されるLPガスの大半は海外から輸入されているということです。

国内でも原油精製や天然ガス生産の過程でLPガスは生産されていますが、その量は限られています。

現在の日本のLPガス供給構造は以下のようになっています。

  • 海外からの輸入:約 85%

  • 国内での生産:約 15% (データ元:日本LPガス協会 2024年度実績)

年度によって変動はありますが、日本は世界有数のLPガス輸入国として知られています。

LPガスは家庭用だけでなく、

  • 一般家庭の給湯・調理
  • 業務用厨房
  • 工場の熱源
  • タクシー燃料(LPガス車)
  • 災害時の非常用エネルギー

など幅広い用途で利用されているため、安定した輸入体制の確保が非常に重要です。

日本のLPガスの主な輸入先

国名 輸入シェア(比率) 特徴・現状
アメリカ 約 75% 〜 80%超 圧倒的第1位。 日本のLPガスの大半はアメリカ産です。
カナダ 約 10% 〜 15% 北米からの安定調達先として近年シェアを拡大中。
オーストラリア 約 5% 〜 7% アジア大洋州ルートの貴重な調達先。
中東諸国(カタール、UAE、サウジ等) わずか 数% 程度 かつての主力。現在はスポット的な輸入や激減傾向に。

アメリカ(輸入シェア:約75~80%)

現在の日本最大のLPガス輸入先がアメリカです。

いつから輸入しているのか

アメリカからのLPガス輸入自体は以前から行われていましたが、本格的に増加したのは2010年代前半の「シェール革命」以降です。
シェールガスやシェールオイルの開発が急拡大したことで、天然ガス生産時の副産物であるLPガスの生産量が爆発的に増加しました。
日本の輸入業者や元売会社は、中東依存を下げる目的もあり、アメリカ産LPガスの調達を積極的に進めました。

なぜ輸入しているのか

アメリカ産LPガスには以下のメリットがあります。

  • 生産量が世界最大級
  • 長期的な供給が期待できる
  • 中東リスクを回避できる
  • 価格競争力が高い
  • 契約条件が柔軟

特にエネルギー安全保障の観点から、日本政府も調達先の多様化を後押ししています。

どれくらい輸入しているのか

2024年度の日本のLPガス輸入量約1,000万トンのうち、約640万トン(64%)がアメリカ産となっています。
2025年以降はさらにシェアが拡大し、業界では約75~80%程度をアメリカが占めていると見られています。

カナダ(輸入シェア:約10~15%)

カナダは近年急速に存在感を高めている輸入先です。

いつから輸入しているのか

本格的な輸入拡大は2010年代後半からです。
カナダ西海岸の輸出インフラ整備が進んだことで、日本向け輸出が増加しました。

なぜ輸入しているのか

カナダ産LPガスは、

  • アメリカと同様に北米産で安定供給が可能
  • 地政学リスクが低い
  • 太平洋航路で輸送しやすい

という特徴があります。
また、日本としては「アメリカ依存を下げるための北米分散先」としても重要な存在です。

どれくらい輸入しているのか

近年では日本のLPガス輸入量の約10~15%前後を占めるとされています。
北米全体で日本輸入量の約90%近くを担う状況になっています。

オーストラリア(輸入シェア:約5~7%)

オーストラリアは日本にとって古くから重要なエネルギーパートナーです。

いつから輸入しているのか

1980年代頃から継続的に輸入されています。
LNGと同様にLPガスも日本向け輸出が行われてきました。

なぜ輸入しているのか

オーストラリア産LPガスの特徴は、

  • 日本との距離が比較的近い
  • 航路が安定している
  • 政治的リスクが低い

ことです。
また、有事の際に中東航路を使わず調達できるというメリットもあります。

どれくらい輸入しているのか

輸入シェアはおおむね5~7%程度です。
数量自体は北米ほど多くありませんが、供給源多様化の観点から非常に重要な位置付けとなっています。

中東諸国(輸入シェア:数%)

かつて日本のLPガス輸入を支えていたのが中東です。

主な輸入先は下記です。

  • サウジアラビア
  • UAE(アラブ首長国連邦)
  • カタール
  • クウェート

いつから輸入しているのか

1970年代以降、日本のLPガス輸入の中心は中東でした。
2005年には輸入量の約85%が中東産でした。

なぜ輸入していたのか

中東には世界有数の油田・ガス田が集中しており、

  • 生産量が豊富
  • 長期契約が可能
  • 大型輸出基地が整備されている

という強みがありました。
また、日本のLPガス価格指標である「サウジCP」は現在も国際価格指標として利用されています。

現在の輸入量

2024年度の中東産LPガス輸入量は約37万トンで、全輸入量の約3.7%まで低下しています。

10年前には約72%を占めていたため、極めて大きな構造変化が起きたことが分かります。

サウジアラビア(輸入シェア:約1%前後)

サウジアラビアは現在では輸入量こそ少なくなりましたが、日本LPガス業界において非常に重要な国です。

なぜ重要なのか

サウジアラビア国営石油会社である Saudi Aramco が毎月発表するCP価格(Contract Price)は、日本国内のLPガス料金の基準価格として利用されています。
そのため、輸入量以上に価格形成面で大きな影響力を持っています。

現在の役割

現在は主力供給国というよりも、

  • スポット調達先
  • 緊急時の補完供給先
  • 国際価格指標の発信国

として重要な役割を担っています。

なぜ日本は輸入先を北米へシフトしたのか

日本が中東依存から北米依存へ転換した最大の理由は「エネルギー安全保障」です。

中東依存時代は、

  • ホルムズ海峡の封鎖リスク
  • 戦争や紛争
  • 政治・治安情勢の不安定化

によって供給が止まる懸念が常にありました。

そこで日本政府とLPガス元売各社は、

  • アメリカ
  • カナダ
  • オーストラリア

からの調達を拡大し、リスク分散を進めました。
その結果、現在では北米が日本のLPガス輸入の中心となり、中東は補完的な供給源へと変化しています。

LPガスの輸入先まとめ

現在の日本のLPガス輸入構造は以下のようになっています。

国・地域 輸入シェア 主な役割
アメリカ 約75~80% 最大供給国
カナダ 約10~15% 北米分散調達
オーストラリア 約5~7% 安定供給源
中東諸国 数% 補完供給

かつては「中東依存のLPガス」だった日本ですが、シェール革命以降は「北米依存のLPガス」へと大きく構造転換しました。現在のLPガス安定供給は、アメリカ・カナダ・オーストラリアを中心とした多様な輸入ネットワークによって支えられているのです。

日本はLPガスを輸出しているのか

結論から言うと、日本はLPガスの純輸入国です。
つまり輸出量より輸入量の方が圧倒的に多い状況です。
ただし以下のケースでは輸出が行われています。

石油化学原料としての輸出

国内需要とのバランスによっては、余剰となったLPガス成分が海外へ販売される場合があります。

LPガス関連機器の輸出

一般消費者がイメージする「LPガス輸出」とは異なりますが、日本メーカーは以下の製品を海外へ輸出しています。

  • ガスメーター
  • LPガス容器
  • 調整器(レギュレーター)
  • 安全機器
  • 充填設備

特に日本の保安技術は世界的にも高く評価されています。

日本のLPガス関連機器輸出先はどこ?

LPガス関連産業を含めると以下の地域との取引があります。

アジア諸国

  • 韓国
  • 台湾
  • フィリピン
  • ベトナム
  • タイ

などの国々とエネルギー・ガス関連機器取引が行われています。

東南アジア

LPガス需要が急拡大しているため、日本の技術や設備の輸出先として重要な市場になっています。

中東地域

一部のガス設備や保安機器については中東向け輸出も行われています。

LPガス輸入先の変化が料金に与える影響

LPガス料金は輸入価格と密接に関係しています。
以下の要因が料金変動につながります。

原油価格

LPガスは原油市場の影響を受けます。
原油価格が上昇するとLPガス価格も上昇する傾向があります。

為替相場

LPガスはドル建てで取引されます。
円安になると輸入コストが増加します。

国際情勢

中東情勢の緊迫化や国際物流の混乱は輸入価格上昇の要因になります。

海上輸送コスト

LPガスは専用タンカーで輸送されます。

燃料費や物流費の上昇は販売価格にも影響します。

今後のLPガス輸入先はどう変わる?

LPガス業界では今後も調達先の多様化が進むと考えられています。
特に注目されているのはアメリカ産LPガスです。
シェールガス開発による供給力の高さから、

  • 安定調達
  • 地政学リスク分散
  • 価格競争力向上

が期待されています。
一方で、中東諸国も依然として世界最大級の供給地域であり、日本のLPガス安定供給に欠かせない存在であることは変わりません。

まとめ|日本のLPガスは輸入先の多様化で安定供給を実現している

日本のLPガスは国内生産だけでは需要を賄えないため、大部分を海外から輸入しています。

主な輸入先は、

  • アメリカ
  • カナダ
  • オーストラリア

などです。

近年はアメリカ産LPガスの比率が高まり、中東依存の低減が進んでいます。
一方、日本はLPガスそのものについては輸入超過の状態ですが、LPガス関連設備や保安技術については海外市場でも高く評価され、多くの国々へ輸出されています。

LPガス販売店としても、安定供給を支える国際調達の仕組みを理解することは、お客様へ料金変動や供給体制を説明するうえで非常に重要です。輸入先の動向を把握することで、LPガス業界の将来やエネルギー情勢をより深く理解できるでしょう。